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言いたいことがなにもない

プライベートな日記です

悪について

しばらく前になるが、ゴールデンウィークにアクトオブキリングという映画を観た。過去、インドネシアで行われた100万人規模の虐殺を、虐殺を行った側にインタビューし、虐殺の様子を演じてもらうというドキュメンタリーだ。

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凄まじい映画だった。後半、ある村の虐殺の様子が再演されるショッキングなシーンでは、観客席の空気が水を打ったような緊張感に包まれた。このような体験ができることも、映画館のいいところだ。
 
そういえば自分がどうしようもなく惹かれる話がある。それは悪についての話だ。
もう少し詳しく言うと、悪人や犯罪の話ではなくて、いつの間にか人が悪の怪物のように変わってしまい、そこに普通の人々が巻き込まれてしまう話だ。そして若干のリリカルさがこめられた話だ。
「ソドムの市」のような狂気の悪のみを凝縮した映画、「隣の家の少女」のような一変の救いもない劇薬のような小説とは、また少しだけ違う。
悪をなしてしまった人々の悲哀があるかないかだろう。別に自分が悪を為したいわけでも、残酷映画が好きなわけでもない。
 

悪霊

悪霊〈1〉 (光文社古典新訳文庫)

悪霊〈1〉 (光文社古典新訳文庫)

 
自分が一番好きな小説をあげるなら、間違いなくこれだ。もう何度読み返したかがわからない。とある町に、悪魔的で超人的なスタヴローギンという青年が帰郷し、それをきっかけにして町はおかしくなっていき、最後にはカーニバルのように狂気の一夜が訪れる。その一夜が過ぎた後の虚無感。

フロム・ヘル

フロム・ヘル 上

フロム・ヘル 上


切り裂きジャックについてのアメコミ。
魔術、都市論あらゆるものを飲み込みながら、一人の人間が次第に狂気に包まれて行く様が描かれる。本人はその行為を正しい行いだと思っているところが恐ろしく悲しい。

悪について

悪について

悪について


またこれは紹介した本とは違い、悪とは何か?の本だ。とはいっても悪の概念とは何か、ではない。悪をなす人にはどのような心理的傾向があるのかだ。

この本で語られるネクロフィリアとナルシシズムによって、なぜ人を傷つけたり殺す人がいるのか、なぜ人は明らかに悪である戦争に賛同してしまうのか、が整理される。
フロムは心理学者だから、それは病である、と断言できるのだろう。

フロムの「悪について」で語られるように、悪の傾向にあるネクロフィリアと対極にあるのはバイオフィリア、つまり生命力であり、生産的であることだ。
ここ最近は、それらのバイオフィリアにもっと自覚的になっていきたい、と思えるようになってきた。