エレカシの映画「the fighting men's chronicle」を観た
先日、といってももう2ヶ月くらい前なのですが、エレファントカシマシの映画を観ました。
その時にこのブログの下書きは書いたのですが、そのまま眠らせてしまっていました。野音の復活ライブも見たことですし、ここでアップしておきます。
世間ではエレファントカシマシ=宮本浩次と思われがちですが、この映画のテーマは「エレファントカシマシ=バンド」ということを伝えるものでした。
映画の構成はエレファントカシマシの練習風景、エレファントカシマシに影響を受けたアーティスト(スピッツの草野マサムネ、ブラフマンのTOSHI-LOWなど)、エレファントカシマシのそれぞれのインタビューや日常の光景、と大体これらのパートを繰り返して進行していきます。
エレカシというバンドが持つ言葉にしづらい不思議な雰囲気を、外部のアーティストのインタビューを挟むことによって言語化していく、という手法なのでしょうか。
その不思議な雰囲気とはどういうことか。
スタジオでの練習風景のシーンは、宮本の前に他メンバー3人が座って練習しています。
この練習シーンでは、たいてい宮本がすぐに演奏を止めて、
「おいおいお前のギターは蚊の泣くような声だな!」
「なんだそのベースは!屁か!」
「こんなドラムではうーたーえーまーせーんー!」
「お前ら同窓会気分か!」
などのありとあらゆる罵詈雑言が飛び出します。
うなだれるメンバー。なんだこのシーン。緊張感しかない。見ているこっちのお腹が痛くなりそう。ベースの音が屁ってどういう表現だ。
前回のドキュメンタリー「扉の向こう」でもギターの石くんに、「なんで勝手にギターの音を変えるんだ!このすっとこどっこいがっっっっ!!!!!」と怒鳴っていました。
「今時目をひん剥いてスットコドッコイとか本気で怒鳴る人いるのか」と衝撃を受けましたが、今回の映画の罵詈雑言はそれを遥かに超えます。あまつさえその豊富なボキャブラリーに感銘を覚えます。
その一方で、とあるシーンでは、宮本がハイテンションで「いやー一回病気をやったことで人間温厚になるね」とスタッフに語っています。やはりうなだれるメンバー。
なんでこんな暴君の元でバンドを続けられるのでしょう。
宮本は「バンドをやりたい、という気持ちの時、あの3人の顔以外浮かばない。一つになれる最高の瞬間があるんだよね」と語ります。
メンバーも「ミヤジ(宮本浩次)は決して上手に弾けとは言わない。ただ彼は曲をその曲らしく演奏しないと怒りますね」と穏やかに言います。
インタビューを受けたアーティストは、「あの人達はエレファントカシマシをやるために生まれてきた。前世から繋がっていたとしか思えない」と言います。
そしていよいよこの映画の最後の最後、4人が鬼気迫る演奏を見せてくれます。
エレファントカシマシは、宮本の歌の凄みが取り沙汰されますが、その歌も無し。
演奏だけが流れます。4人が生み出した演奏は、嵐の中心にいるかのように、激しく張り詰めている。見ていると息が止まる。最も緊張感のあるシーンでした。
草野マサムネは「外国からロックがやってきて、日本で独自に成長していった完成形がエレファントカシマシ」と語ります。
この最後のシーンで、テクニックがあると言われる演奏ではないかもしれないけれど、鬼気迫る陶酔した世界がかいま見えます。バンドはすごい。
この最後のシーン以外、なぜこんなヘンテコ爆笑ドキュメンタリーになったのかさっぱりわからない映画ですが、日本にはこんな変なバンドがいたことを記録した映画として、非常に貴重だと言えます。面白かったです。
この映画のアウトテイク?です。
エレファントカシマシ「めんどくせえ(仮) 2013.7.8 = the day after the 劇場版 ...
50歳近くなってきたのに「めんどくせえ(仮)」なんていう仮歌作ってます。
ピッタリと合っている演奏ではありませんが、ダウンピッキング中心のハードコアパンクを50歳近くなってきたのにやっている(2回言いました)。変なバンドだなー。狂気だ。すごい。
僕がエレファントカシマシの中で、最も好きな作品を上げるとなると、この3つになります。
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そういえばこの映画、今度DVDになるらしいですね。
25 years of the fighting men’s chronicle 劇場版 エレファントカシマシ ディレクターズカット [DVD]
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- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
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