パンクロックを感じた文学5作品を選んでみる
大学生くらいまではあまり本を読まなかった。せいぜい子供の頃に赤川次郎、中学生に宗田理、高校生で村上春樹、大学生で新本格のミステリを読んでいたくらい。大体一人の作家か特定のジャンルのみを読んでいた。
くそったれ!少年時代
- 作者: チャールズブコウスキー,Charles Bukowski,中川五郎
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1999/12
- メディア: 文庫
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ジョニーは戦場へ行った
戦争に行って、四肢と顔半分が失われてしまったジョニーの話。周りからはただ呼吸をしているのみにしか見えず、意識があることさえ誰にも気づかれないままに、病院で治療を受けている。そんな夢も希望もない話。「命とは何か」というよくある命題さえ陳腐に感じてしまうヘビィさ。
この映画の映像をモチーフに、メタリカのONEという曲のプロモーションビデオが作られたらしい。でもメタリカ聞かないので、よく知りません。間違いだったらすみません(調べてない)
長距離走者の孤独
- 作者: アランシリトー,Alan Sillitoe,丸谷才一,河野一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1973/09/03
- メディア: 文庫
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とにかく文体がカッコイイ。労働者階級の少年が悪態をつきながら、でも唯一自分にだけは正直に、世間のインチキに背を向けるような一人称の文章だ。
一節を引用すると
それに奴らはきまって、《わたし》とか《おれ》とか言うかわりに、《われわれ》とくる。たった一人の相手に対して、こっちには味方がたくさんいるぞという気がして、元気と正義感がわいてくるしくみだろう。
全編このような調子。僕はこのような吐き捨てるような口語調の文体に初めて出会ったので、衝撃的だった。とにかく文体のリズムと内容が痛快な小説。
悪童日記
- 作者: アゴタクリストフ,Agota Kristof,堀茂樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/05
- メディア: 文庫
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戦時下の中で、母をなくした双子が、心ない老婆のもとで育てられながら残酷な日々をくぐり抜けていく話。その双子が感情をなくす努力や痛みを感じなくなる努力をしたりと、次第に人間を超越した怪物のようになっていく。ドライに突き放した文体がカッコイイ。
もし僕が「ハードコアな文学」というエントリーを書いたとしたらそちらに加えたい。徹底的に覚めきった無常感がある。