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言いたいことがなにもない

プライベートな日記です

2014年1月に読んだ本

2014年1月は12冊の本を読んだ。今年になってから、意図的に物語を読む量を増やそうかと思っていた。こういう本は読むのが早い。電車の中でもサクサク読み進められる。

 

1月の第1週に、読んだ本をブログに書いたので、そこで紹介した4冊は割愛。

今週読んだ本 - 言いたいことがなにもない

mtakanoの本棚 (mtakano) - ブクログ 

苦役列車 (新潮文庫)

苦役列車 (新潮文庫)

 

 自意識と劣等感が炸裂した私小説。ただひたすらどうしようもなく行き場もない、繰り返すだけの日常。生活。とてもリアルだ。綺麗事を取っ払うと人間はどのような生き物であるのかが生々しい。カイジというか、むしろ最強伝説黒沢の世界。

10年位前に読んでいたら、もっと感じるものはあっただろう。今の自分が私小説をあまり求めていないのかもしれない。 

 

冥途・旅順入城式 (岩波文庫)

冥途・旅順入城式 (岩波文庫)

 

 昔に読んだはずだったが再読。大好きな幻想小説だ。ふとした日常に紛れ込む悪夢的世界。そしてオチもなく、何一つ解決しないから悪夢に終わりがない。だから物語の説明ができない。暮らしていたら、悪夢の世界といつの間にか重なってしまっていたというそれだけ。怖い。

ただ、百閒先生なりのユーモアのある記述が、ただいたずらに怖いだけではない。そこがゴシック的ではなく、もっと日本のうすら寒さと落語のような軽妙さのある怖さになっている。そして何より、文章が美しく、悪夢的世界と相まって文体に酔ってしまう。

 

古本屋探偵の事件簿 (創元推理文庫 (406‐1))

古本屋探偵の事件簿 (創元推理文庫 (406‐1))

 

 ミステリかと思ったら、探偵小説だった。古書の道に通じた主人公にやってくる、人探しや本探しの依頼。古書マニアの世界がかいま見える。4篇からなるが、話によってはクトゥルフ神話をイメージさせる崩壊シーンがあったりとバラエティに飛んでいる。

ただ、話がマニアックでコア過ぎて、ストライクな内容ではなかった。

 

死神の浮力

死神の浮力

 

 死神シリーズの長編。子供を殺した相手に、若い父と母が復讐する話。伊坂幸太郎の話はさらっと読めるし、ストーリーに気が利いているので息抜きに良い。大体いつもハズレがなく、期待通りのエンタメに仕上げてくれる。

今回も、辛いエピソードをはさみつつも、スッキリと読み終わることができた。

 

知の逆転 (NHK出版新書 395)

知の逆転 (NHK出版新書 395)

 

 とても面白かった。様々な知の巨人たちへのインタビュー集。彼らの著作や持論を要約しながらインタビューしてくれるので、とてもわかりやすい。とてもいい本だった。

 

機械との競争

機械との競争

 

もともと、機械に人間の労働力は取って代わられるのではないか、という危機感は持っていた。それは避けられないことで、いずれ世界はGoogleに支配される(Googleのコンピュータ)と言う人さえいる。

この本でも、アメリカの実情に従って、コンピュータとインターネットの発達はあまり雇用を生み出していないこと、その結果失業率が減らないこと、また貧富の差が大きく広がっていること、中間スキルを持つ労働者の需要が減っていることなどが語られる。 だがその結論は悲観的ではなかった。コンピュータと人間が協力しあう、計算能力と直感の組み合わせなどが最も素晴らしい力を発揮できると言う。これまでの産業革命の歴史から見ても、今はイノベーションによって新たな市場が出来上がるチャンスだと述べている。

僕は、この本ほど楽観的な態度は取れなかった。だが機械、というかコンピューターの発達は避けられないことなので、それを見据えて歩んでいくしかない。

あと薄くて内容は読みやすいのに、どうも装丁が読みづらい。 

どうでもいいけれど、元のタイトルがRACE AGAINST THE MACHINEと、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンをもじっているのがいい。 

 

タタール人の砂漠 (岩波文庫)

タタール人の砂漠 (岩波文庫)

 

辺境の砦に着任した将校が主人公。

特別な事件は何も起きない。毎日が同じ繰り返しの中を、「いつかは何かが起きる」とただ安穏と無為に待ち続け、いつしか青春は終わり取り返しがつかなくなる。その様子を延々と綴った小説。冷静で冷徹。

途中途中、作者の「こんな風にして過ぎ去って戻らない青春に気づかない」というグサリと刺さるコメントが挿入される。 とにかく主人公の無意味だった人生についての話。何も起きない小説だけれど、ひたすらに胸が痛む。 

 

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (角川文庫)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (角川文庫)

 

角川70%オフで購入してみた。文章がうまい中学生の少女のような文体が生々しかった。あらかじめ終わり方が悲しいことが分かっていて、そこに向かって進んでいく。

伏線かと思えばそうでもなく、何かあるかと思えば何もない、ただ書きたくなったことをストレートにエモーショナルに書いたようだった。前もって思っていたミステリでは全くなかった。ただ、ひたすら悲しい青春時代の話。サクサク読めた。

最近、このような貧困の中に暮らす田舎の中学生を主人公にした物語が増えている気がする。米澤穂信のリカーシブルもそうだった。

 

今月は「セカイからもっと近くに」「シグナル&ノイズ」「陰翳礼讃」「冥途・旅順入城式」「知の逆転」「タタール人の砂漠」が特に良かった。

2月は、角川書店の70%オフセールで何冊か買ったので、それを読みつつ、今勉強したいジャンルの本を読んでいくつもり。